おそらく、「ギックリ腰」という言葉を一度は耳にしたことがあるでしょう。もしかしたら、あなた自身もぎっくり腰の経験があるかもしれません。
以下は、ぎっくり腰を引き起こす可能性のある状況です。
・腰を急にねじる動作をしたとき。
・椅子から立ち上がる際に突然痛みを感じたとき。
・重い物を持ち上げようとした際に。
・前かがみの姿勢での作業中に。
・寒い朝に前かがみで洗顔をしていたとき。
これらの腰への負担が、ぎっくり腰の原因としてよく知られています。
ぎっくり腰による腰の違和感や痛みは、男性も女性も共通して現れます。誰でも何らかのきっかけでぎっくり腰になる可能性があるのです。
さらに、ぎっくり腰は「癖になる」と言われることもあります。つまり、一度経験すると再発する可能性が高くなるのです。
この記事では、以下の内容をお伝えしていきます。
第1章:ぎっくり腰とは何かについて。
第2章:ぎっくり腰の主な原因。
第3章:ぎっくり腰が再発する理由。
第4章:再発を予防する方法。
第5章:【注意】ぎっくり腰ではないが、病院へ行くべきサインについて。
どうぞ最後までお付き合いください
【第1章】ギックリ腰とは
ぎっくり腰は「急性腰痛」といわれる医学用語をさします。
特別な前段階なく、予期せぬ動作によって腰部に負担がかかり、突然発症します。その急な痛みから、「魔女の一撃」と形容されることもあります。
ぎっくり腰の症状は人によって異なり、痛みの強さも様々です。
軽度のぎっくり腰であれば、自宅での簡単なケアで快復することができるかもしれません。湿布を貼ったり、軽いストレッチや安静によって症状が和らぐことがあります。
しかし、症状が重い場合は、体を動かすことも出来ないほどのつらい痛みが生じます。
また、長引く場合には、医師の診断と適切な治療が必要です。
【第2章】:ぎっくり腰の原因は
では次に、ぎっくり腰の原因について伝えていきます。
大きく分けて次の3つです
ぎっくり腰の原因1:椎間板によるもの
ぎっくり腰の1つの原因として、椎間板によるものがあります。
椎間板は、腰椎(腰の骨)と腰椎の間に存在する軟骨組織であり、骨同士の摩擦を防いだり、衝撃を吸収したりする役割を果たしています。
しかし、この椎間板が異常をきたすと、骨に影響を及ぼす可能性があります。
ぎっくり腰が起こる場合、重いものを持ち上げたり、激しく体を捻ったりするなどの行動によって、椎間板に大きなストレスがかかります。
この結果、椎間板に傷が生じ、その傷口からゼリー状の物質である髄核が漏れ出すことがあります。これによって、強い炎症が引き起こされることがあります。
このような髄核が飛び出す現象を医学的に「ヘルニア」と呼び、「腰椎椎間板ヘルニア」という診断名で知られています。
ぎっくり腰の原因2:椎間関節のゆがみやズレ
2つ目のぎっくり腰の原因は、椎間関節のゆがみやズレです。椎間関節とは、椎骨同士をつなぐ関節のことを指します。背骨は、頚椎(首の骨)が7個、胸椎(胸の骨)が12個、腰椎(腰の骨)が5個の計24個の椎骨で構成されています。これらの椎骨がバランスを保ちながら姿勢を支えています。
しかし、日常生活で腰に負担がかかる姿勢を繰り返したり、背骨を歪ませるような姿勢を続けることによって、椎間関節が常にねじれた状態で動くことがあります。ねじれた椎骨の上部は不安定になるため、体はバランスを取るための姿勢をとります。この結果、椎間関節に歪みが生じることがあります。
さらに、同じ動作を繰り返すことによって、歪んだ椎間関節で摩擦が生じ、炎症を引き起こすことがあります。これにより、痛みが発生したり、足首の捻挫のように外力が関与して椎間関節を支える靭帯に損傷を与えることがあります。
ぎっくり腰の原因3:筋膜・筋肉によるもの
ぎっくり腰の原因として筋膜・筋肉の影響もあります。
腰回りには、脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)、多裂筋(たれつきん)、腰方形筋(ようほうけいきん)などの腰を動かしたり姿勢を保ったりするための筋肉があります。
これらの筋肉に過度な負担がかかると、筋膜や筋肉に損傷が生じ、腰に痛みが生じることがあります。
特に筋肉が硬い場合、体の動きが制限され、無理な姿勢で作業を行ったり、適切な準備運動を行わずに過度な動きをしたりすることで、ぎっくり腰を引き起こす可能性が高まります。
これらの理由から、ぎっくり腰は以下のような要因によって引き起こされることが分かります。
- 腰椎の椎間板
- 腰の椎間関節
- 腰回りの筋肉
ぎっくり腰はこれらの要素のいずれか、または複数が影響して引き起こされるものとなります。日常生活で姿勢や動作に気をつけ、特に筋肉の柔軟性を保つための運動を取り入れることが重要です。これにより、ぎっくり腰を予防することができます。
では、次の章ではなぜ、ギックリ腰は再発されるか説明していきます。
【第3章】:ギックリ腰が再発される理由
では、ここからは、ぎっくり腰が再発する理由を説明していきます。
勘違い
多くの方がぎっくり腰を治療し、痛みが取れた後は安心しているかもしれませんが、その後の行動が重要です。
ぎっくり腰を治療した際の質問ですが、以下のような方法で治した方もいらっしゃるかと思います。
・ 痛み止めを服用して治した
・ 湿布を貼って治した
・ 寝ることで回復した
・ コルセットをつけて治した
・ 電気治療を受けて治した
・ 鍼灸(はりきゅう)を受けて治した
・ マッサージを受けて治した
・ パーソナルトレーナーに体を整えてもらった
これらの方法により、ぎっくり腰の痛みを和らげることは可能ですが、重要なのはその治療後の行動です。
痛みが取れたということは、腰回りの状態が完全に正常に戻ったということではないのです。
具体的には、痛みが取れても腰回りの問題が解消されたわけではなく、あくまで痛みが一時的に和らいだだけということです。
例えば、痛み止めを服用してぎっくり腰を治した場合、その痛み止めは痛みを感じる神経を一時的にブロックしているため、腰回りの状態が改善されたとは言えません。
同様に、マッサージを受けて痛みが和らいだ場合も、腰回りの炎症物質が減少し、周囲の筋肉がほぐれることで痛みが軽減しますが、問題の根本的な修復が完了したわけではありません。
「痛みが取れたから、治った」という考え方が再発を繰り返す原因となる場合があります。
ぎっくり腰は、骨折と同じくらい深刻なケガであると捉えるべきです。治療後のリハビリケアが非常に重要です。
治療後の行動に注意し、「痛みが取れたから」という安心感に流されず、ぎっくり腰を再発させないために次の点に注意しましょう。
生活環境改善が不十分
2つ目のぎっくり腰再発の原因は、生活環境の改善が不十分であることです。
ぎっくり腰は、交通事故や外部からの刺激によって発生するものではありません。その原因は、自分自身の行動や生活習慣にあるのです。
なので、ぎっくり腰の痛みが改善された後でも、再発してしまう場合は、生活環境に十分な改善が行われていない可能性が高いです。
「でも、仕事上で腰に負担をかけることが多いんです。仕事を減らすわけにはいかないし、生活がかかっているのでできません」という声もあるでしょう。
そこで、以下の5つの質問をしてみましょう。
Q1. ぎっくり腰を再発しないように、定期的に医療機関を受診していますか?
Q2. 食生活を見直しましたか?
Q3. タバコやアルコールなどの嗜好品の摂取量を減らしましたか?
Q4. 腰痛体操を日課に入れるようにしましたか?
Q5. 専門家から腰に負担のかからない方法を学んだり、自分で行動を起こしたりしましたか?
これらの質問に全てYESと答えられる方は、再発の原因には病的な要因や精神的な要因が関与しているかもしれません。
しかし、ほとんどの人が生活環境の見直しについて上記の5つを実践していない可能性があります。
例えば、ぎっくり腰の治療後でも、体の定期的なメンテナンスを怠っているかもしれません。車が定期的なメンテナンスを受けるように、体も同じくらいのケアが必要なのです。ギックリ腰は治ってからの行動が重要であると先ほど説明しました。
食生活の見直しも大切です。栄養のバランスが取れた食事は体の回復に必要な栄養素を補うことができます。野菜や大豆を中心とした食生活を心掛け、腹八分目に抑えることで体の回復を促しましょう。
さらに、タバコやアルコールの過剰な摂取は血管に悪影響を及ぼします。血液は体の臓器に酸素や栄養を運ぶ重要な役割を果たしています。血管への負担を減らすためにも、減らすことを意識しましょう。
腰痛体操は治療後も続けることが大切です。寝る前や朝起きた時に行う習慣を身につけましょう。リマインダー機能を活用するなどして、日課に組み込むことが効果的です。
さらに、腰に負担のかからない工夫を学ぶことも重要です。立ち方や座り方、ものを持つ際の姿勢などに注意し、再発防止に努めましょう。再発しないためには、治療後の生活環境の改善やコルセットの常備が欠かせません。大切な体を守るため、引き続き適切なケアを行ってください。
筋力の低下
最後に、筋力の低下がぎっくり腰の原因として挙げられます。筋膜・筋肉に関して言及しますが、筋肉は鍛えないと徐々に衰えてしまいます。これは腰だけでなく、他の部分にも当てはまります。
腰自体が筋力低下を起こしてぎっくり腰を再発させてしまう場合もあれば、他の部分の筋力低下によって腰の負担が増え、ぎっくり腰が再発するケースも考えられます。
栄養価の高い食事を摂りながら、日々筋力の強化と柔軟性を保つことができれば、ぎっくり腰の再発を防ぐことができます。
さらに、年齢を重ねると体内の水分が減少します。人間の体の約60%は水分で構成されていると言われています。しかし、利尿作用が強い飲み物や水分摂取が少ない生活が続くと、体の水分量が減少し、筋肉が硬くなりやすくなります。
ここでの水分とはH2O(水)のことです。1日にどれだけの水分を摂取しているか考えてみましょう。文献によって違いはありますが、成人の場合は少なくとも1日に2リットルの水分摂取が推奨されています。
しかし、一気に多量の水を飲むことは避けましょう。1日の活動時間を考えると、睡眠を除く16時間は動いています。4時間でペットボトルの500mlの水を飲むことはそれほど多くないかもしれません。
徐々に500mlのペットボトルの水を摂取する量を増やすことを心掛けて、1日の水分摂取を増やしていくと良いでしょう。水分補給には積極的に取り組んで、筋力低下の防止に努めましょう。
以上が、再発をしてしまう原因になります。
これらを理解した上で、「じゃあなにをすればいいのか?」と言う疑問が出てくると思います。
次の章で、ぎっくり腰の再発を防止する対策方法をあげていきます。
再発を防ぐ5つの方法
では、ここからはぎっくり腰の再発を防ぐ5つの対策をお伝えしていきます。
1、記録する
まず、1つ目の方法は記録をすることです。
この記録には以下の2つが含まれます。
① ぎっくり腰になった時の背景を記録すること
② 日々の腰の違和感を数値化すること
あなたはどのようなことをしてぎっくり腰になりましたか?
例えば、
・中腰姿勢を繰り返した結果ぎっくり腰になった。
・普段やらないことをした結果、ぎっくり腰になった。
・届くと思って自分の限界の動きをして、ぎっくり腰になった。
など、原因はさまざまです。より詳細に把握できているほど良いです。
例えば、、、
・連日重たいものを持つことが多かった。その後、中腰で荷物を持つ動作をしてぎっくり腰になった
・雪が降る前なので、普段やらないタイヤの交換をしてぎっくり腰になった
・棒を使えば普通に届くところだったが、面倒臭かったから、ちょっとしんどいポーズになったが、届くと思ったので無理に体を伸ばしてぎっくり腰になった。
ここでポイントなのは、同じ行動をすると再発しやすいということです。
ですので、なぜぎっくり腰になったのかをしっかり覚えておき、同じ行動をする際は準備をして行うか、「やらない」決断をすることが重要です。
また、②日々の腰の違和感を数値化することも重要です。腰を動かした時に痛みを感じた日は、その痛みの度合いを数値で記入してください。
痛くない日を0として、現在の腰の痛みを5と評価します。ここで大切なのは、痛みの数値は何でも構いません。重要なのは、痛みの数値が3日連続で同じか、右肩上がりに増えてきている場合、ぎっくり腰の前触れになる可能性があるということです。
自分の体と向き合い、毎日寝る前に1日を振り返り、腰の痛みの数値を記録することで、ぎっくり腰を防ぐことができるようになります。
2、筋肉を鍛える
2つ目の対策は筋肉を鍛えることです。
体幹と下半身の筋肉を強化することで、腰にかかる負担を軽減できます。さらに、腰の筋肉も強くなるため、しっかりと筋トレを行いましょう。
しかし、スポーツジムに通う必要はありません。
1日2分から4分程度を自分の体重を使ってトレーニングするだけで十分です。
おすすめのトレーニングはプランクと四股踏みです。
プランクの方法については、以下のサイトがわかりやすく解説しています。
また、四股踏みについては、以下のサイトがおすすめです。
これらのトレーニングを日替わりで行うだけで、1日約5分程度で筋肉を鍛えることができ、ぎっくり腰の予防につながるでしょう。自宅で手軽に取り組めるので、是非試してみてください。
3、腰痛体操を取り入れる
腰痛の体操を検索するとさまざまな方法が出てきますが、代表的なものとして「マッケンジー体操」があります。
* マッケンジー体操は以下の動画で簡単にできます。
就寝前にこのポーズを行ってください。ただし、このマッケンジー体操は一般的な腰痛体操となりますので、この体操をして痛みが増すような場合は中止してください。
また、入浴後に行うことをおすすめします。先ほどのトレーニングに加えて、以下の順番で行うと効果的です。
プランク → 入浴 → マッケンジー体操 → 就寝
4、水と栄養豊かな食事を摂る
4つ目の対策は、水と栄養豊かな食事を摂ることです。
先ほどお伝えしたように、年齢とともに体内の水分量が減少していきます。しかし、成人になるとカフェインやアルコール、薬の副作用などで利尿作用(おしっこの量が増える反応)が増すことがあります。
1日に4時間で約500mlの水を飲むことで、1日に2リットル程度の水分を摂ることができます。
喉が渇く前に水分を摂取することを心掛けましょう。それを日常の習慣として飲むようにしましょう。
また、食事にもビタミン、ミネラル、アミノ酸などを中心に摂取するようにしましょう。
豆類、海藻、野菜、魚、きのこ類などを積極的に取り入れることが大切です。
すべてを一気に変えることは難しいかもしれませんが、少しずつ改善する努力をしていきましょう。
5、定期的な通院
最後に、定期的な通院が重要です。
セルフケアだけでは自己流になってしまい、大きな事故につながることがあります。
歯のケアのように、定期的な検診が必要です。歯科医に3ヶ月に1回、6ヶ月に1回の検診を受けるように、体のケアも同様です。
整体院で体の歪みをチェックしてもらったり、整骨院で腰の緊張を確認してもらったり、また医師に現状を報告してみるのも良いでしょう。
歯の検診が虫歯や抜け歯の予防につながるように、腰のケアも予防につながります。腰痛や再発を防ぐためには、専門家に相談し、定期的なチェックを行うことをお勧めします。
これはぎっくり腰じゃない!!こんな時は病院に!!
ぎっくり腰のように見えて実はぎっくり腰ではないケースがあります。もし、腰の痛みが生じた後に以下のような症状が見られる場合は、病院で診察を受けることをおすすめします。
1、しびれ
腰の痛みと同時に下半身に電気が走るような痺れを感じる場合は、迅速な診察が必要です。これは病院で相談するべき症状です。
2、下半身に力が入らない
ぎっくり腰の後、下半身の力が入りにくい状態が持続する場合は、専門家に相談してください。
3、排尿・排便の異常
排便が困難である、肛門に力が入らない、便や尿の漏れが生じるなどの症状が腰の痛みと同時に起きている場合、「膀胱直腸障害」を疑われる可能性があります。このような場合も早めに専門家に相談しましょう。
最後に、、、、、
ぎっくり腰は一度経験すると、再発を避けたいと誰もが感じるでしょう。しかしながら、現代社会の忙しさやストレスによって、痛みを我慢することやお金を使うことに抵抗を感じることが多いのも事実です。
自分の体は他の誰かと交換できません。特に重いぎっくり腰を患ってしまうと仕事を休むことになり、結果として多くのお金や時間を失ってしまう可能性があります。
ぎっくり腰の再発を防ぐためには、適切なセルフケアと定期的なメンテナンスを行い、一生涯にわたって健康な体を保つよう心掛けましょう。
以上で、今回の内容は終了となります。
あなたの可能性を信じて、、、、、
それではまたお会いしましょう。
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